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目撃情報

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みなさまから寄せられた目撃情報を掲載しています

11月6日
以下の文章は、孫 可黄さんがこのプロジェクトを通じて得た中国の密猟についての情報です。
心のこもったとてもよい文章ですので、多くの人に読んでいただきたいと思い、この欄で紹介することにしました。 樋口 広芳


『ウェブを見ながら密猟について考えた』  孙 可冀(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科) 


 ハチクマプロジェクトの中国語発信者を担当させていただいた2ヶ月間、いろいろありました。
 9月下旬、ハチクマたちがまだ日本にいた時、西日本から何通ものメッセージが届き、Kuroを見た喜びを伝えてくださった。その時、嬉しい気持ちとともに、羨ましい気持ちもあった。中国を渡っているとき、こんなメッセージが来てほしいと思った。

 やがて、ハチクマたちが東シナ海を越えて中国大陸に入り、10月9日に「中国のfacebook」と呼ばれるsinaミニブログでハチクマプロジェクトの発信が開始された。ハチクマたちが「遠く」まで飛べるようにという願いもこめて、facebookを利用できない中国国内の方々に同じ喜びを与えたいためであった。開通してわずか2週間、ファンが100人を超え、注目度もどんどん増加している。そして、期待していたハチクマたちに関するメッセージも届いた。

 ところが、予想と違って、そのメッセージはハチクマたちを心配するものだった。地元は密猟が盛んだからだそうだ。
 ハチクマたちが経由した広西チワン族自治区は自然の豊な地域で、多民族がともに暮らす地域でもある。そこに毎年渡りの時期になると、密猟者がたくさん集まって、散弾銃や罠を使って鳥を捕まえている。捕獲した鳥は近くのペット市場や、飲食店に販売し(地元は白鳥などの野鳥を食べる習慣があるらしい)、お金を稼ぐ。一日の捕獲数は、なんとトンに上ったころもある。近年、密猟に参加する人の数もだいぶ増加し、もはや警察だけでは抑えられない勢力になっている。

 このメッセージを受けた1週間、無力感を味わいながら、渡りの列の一番後ろに残されたNaoの位置情報を毎日チェックし、広西を離れるまでなかなか落ち着けなかった。
 ようやく、Naoがベトナムに入り、それを発信したとたん、もう1通のメッセージが届いた。

「直ちゃんは無事中国を出ましたか?ほっとしました。」
「私は北海冠頭嶺の野鳥保護NPO組織の者です。毎年、鳥の密猟者たちと戦っています。今年は仲間たちと協力して、ここでの密猟事件をだいぶ減らすことができました。この数日間、直ちゃんがまもなくここを通ることを知り、毎日出勤する際に非常にドキドキしました。昨日、同僚が一本の木の上で、空きの鷹の罠を解除した時、直ちゃんがいなくて良かったと思いました。」
「直ちゃん、ここから出たとは言え、先はまだまだあるから、気をつけてね。いつ来ても守ってあげるよ、私たちもがんばるから。」

 ちょうどその翌日、中国政府が渡り鳥の保護条例を打ち出し、全国の渡り鳥の重要中継地となった場所の安全性を強化しようとした。ミニブログでの愛鳥者たちも沸騰し、密猟者たちの散弾銃に対し、彼らはカメラを持ち、不法な行為と顔写真を撮ってネットにアップし始めた。銃を奪えという怒濤のコメントも殺到した。

 その様子を見て、私はこう思った。われわれが対応すべきなのは、一丁二丁の銃ではなく、その悪信念を支える売買関係であり、長い間地元の人の心に根差された伝統観念である、と。広西に住む人たちも乱暴・愚かな者ではなく、ただ自分が間違っていることを知らず、正しいことを教えてくれる人がいないからにすぎない、と私は信じている。

 未来は予知できないが、ミニブログ内に輪が少しずつ広がっていくのを見て、希望の灯が心にともった。


10月8日
長野県の白樺峠でタカ類の渡り観察を続けている久野公啓さんから、以下の情報をいただきました。10月1日にすでに、「ユーザーからの最近の投稿」欄に室屋 俊宏さんが投稿してくださっていますが、追加情報として掲載させていただきます。

「Naoと思われるハチクマの簡単な 観察記録をお送りします。
2012年10月1日、14時04分、白樺峠定点調査地の北東側約1km先で飛翔するのを発見。調査地北側600mで帆翔を繰り返して高度をかせいだ後、14時08分、南西方向へと滑翔して視界から消えました。」

写真も撮影されています。

樋口

10月1日
 9月28日、下関市の戸嶋涼子さんより、以下の情報をいただきました。

「クロ?と思われる個体を目撃いたしましたので情報提供します。9月28日午後5時過ぎ、福岡県北九州市門司区風師山でハチクマの渡りをみておりました。下関市の火の山からの情報で、発信機の着いた個体が風師方面に向かったとの情報を得て待っていると、数分で関門海峡を渡ってきました。遠かったので画像は悪いですが、ご容赦ください。」

29日には衛星の位置情報が当地から得られていますし、戸嶋さんから送られてきた写真を見ると、画像はよくないながら、クロの名前の由来になった全体に黒い羽色の特徴が認められます。クロにまちがいない思います。戸嶋さんが観察、撮影していた時間は、送信機の稼働がオフ になっている時間帯でした(電池寿命を考慮して、ある設定をしています)。観察情報の方が先に得られたというのは興味深いところ です。戸嶋さんたちは何人かでこの鳥を観察されていたとのこと、 貴重な情報をありがとうございました。 

樋口広芳

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