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ハチクマってどんな鳥?

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撮影:中村照男


ハチクマはその名のとおり、タカ類なのにハチ類の幼虫、蛹、成虫を主食にしている。養蜂場のミツバチも食べるし、自然の中にあるクロスズメバチなどジバチ類の巣も襲う。地中にあるジバチ類の地中の巣は、おそらく、空中や樹上からハチの行動を見ながら捜しているのではないかと思われる。ハチ類以外では、小鳥やカエルなどをとって食べる。
ハチの巣では、襲ってくるハチをものともせず、巣にとりついて幼虫や蛹をとって食べる。体から何かを出してハチがまとわりつくのを防いでいるのではないか、ともいわれるが、実際にはたくさんのハチが体にまとわりついている。それでも、ハチクマはほとんど平然としている。ハチに刺されてもなぜ平気でいられるのか。今のところ、はっきりした答えはない。


多くのタカ類と違って、ハチクマは繁殖期間中でも、ある限られた範囲を占有することなく、かなり広い範囲を移動しながら過ごす。抱卵中や育雛中でも、数10kmを越える距離を少なからず動きまわる。たとえば、長野県の安曇野で繁殖したある雌は、抱卵中に30~40kmも離れた戸隠とのあいだを行き来していた。おそらく、ハチ類の巣を求めて広範囲を移動しているのではないかと思われる。あちこち無茶苦茶に動いているようには見えないので、ある程度、ハチの巣のありかを知っていて巡回しているのかもしれない。
ハチクマの行動でもう一つ注目されるのは、声をあまり出さないことだ。サシバなど、とくに繁殖期のはじめにはピックイー、ピックイーとさかんに鳴くが、ハチクマではそうしたことがない。限られた範囲を占有することがないので、鳴く必要がないのかもしれない。

サンプル画像
撮影:中村照男


サンプル画像
撮影:時田賢一

外観上の特徴に注目すると、個体ごとに羽色や模様が異なっている。羽色の特徴から個体識別ができるほどだ。羽色が個体によって異なるこの特徴は、やはり広範囲をあちこち動きまわることと関係しているのかもしれない。つがいの相手や近隣の個体が特定個体を認識しやすくするのに役立っているとも考えられるからだ。雄と雌の外観ははっきりと異なる。雄は眼が黒っぽい個体が多く、全体にやさしい顔つきをしている。雌は目に黄色い部分が多く、全体にきつく見える。
ハチクマの顔のまわりには、小さなうろこ状の硬い羽毛が密生している。この特徴は、ハチの針が皮膚に届きにくくするのに多少とも役立っているように思われる。若い個体では羽毛の発達状態が悪く、そのためハチに猛烈に刺されることがある。足の指のうろこは、先端が突起状に盛り上がっている。地中のハチの巣を掘り出すのに都合のよい形状になっているといえる。

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